愛犬ちゃんがストレスをためていたら【やってあげたいこと3選】
いぬがストレスをためると、精神的に不安定になりイライラしたり、憂鬱になったり、下痢・便秘などなど心身ともにダメージを負うのはひとと同じ。
ヒトは適度にストレス発散できますが、わんちゃんはどうしてあげたら良いのやら?愛犬ちゃんがストレスをためていて、元気がなかったり、ストレスサインを出していたら「なにか自分にできることは?」と考えている飼い主様もきっと多いはず。
この記事では、そんなストレスに対しの対策をお伝えします。
まずは、ストレスのサインに気付き、原因を探って、必要に応じて病院へ足を運んでくださるようお願い致します。また、上に挙げた記事を参照していただけると、より愛犬ちゃんに対する理解が深まることと思います。
この記事を書いたひと
犬の整体師
日本ペットアロマホームケア協会認定アドバイザー
日本ペット栄養学会ーペット栄養管理士
分子整合医学美容食育協会ーファスティングマイスター
運動
運動の効果について
運動の効果について並べると、
- 筋肉がつく
- 骨が丈夫になる
- 心肺機能が向上する
- 代謝が上がり、ダイエットにもなる
- 脳の活性化
- 免疫力向上
- 痛みの緩和
などなど、、数知れず。。
また、適度な運動は精神ストレスを低下させるという効果もあります。
少々小難しいになるのですが、運動後にβ-エンドルフィンという物質が脳から分泌されることが分かっています。
鎮痛効果や気分の高揚・他幸福感などが得られる神経伝達物質の一つで、モルヒネと同じような作用をする物質。モルヒネと聞くとちょっと怖い感じもしますが、「ランナーズハイ」と呼ばれる現象もこのβ-エンドルフィンの作用によるものなのでご安心ください。
ちなみに、ヒトがおいしいものを食べたときなどにも分泌されているので、
「おいしくて幸せ~」と感じるのはβ-エンドルフィンのおかげですね。
β-エンドルフィンの作用を挙げると
- 痛みをやわらげる
- 免疫力を上げる
- 不安をやわらげ、安心感を与える
- 幸福感を与える
- ドーパミンとも連携している
- 自律神経とも連携している
などなど
単体の作用でも良いことに働きますが、連鎖して他の良いことを引き起こしてくれるので効果も倍増してくれます。
どんな運動が良いか
運動とひとことでいってもどんな運動が良いのか?についてのラットの実験でこんな研究があります。
ラットが走る装置を2種類用意して
- 高速運動群
- 低速運動群 に分ける
各群5匹ずつを対象として、
1日2回30分ずつ、7日間実施。
結果は以下のとおり
- どちらもコルチコステロン(ストレスを感じると出るホルモン)濃度は上昇。
- 高速運動群は低速運動群に比べてβ-エンドルフィン濃度が有意に上昇。
運動の種類や強度によってβ-エンドルフィン分泌が変わる。
負荷量はゆったりとした運動よりも負荷量を上げた方が良い。
ヒトでは走るよりも水泳後の方が上昇するという報告もある。
愛犬ちゃんに置き換えると:
散歩のときに、坂道を上ったり、走ったり、ジャンプしたり、、と息が少しきれる程度の負荷を与えてあげると良いのかな~と思います。飼い主様も一緒にやることでお互いがハッピーになれる、まさにウィンウィンですね。
スキンシップ(なでるなどのマッサージ、こえかけ)
疲れがたまっていて体中がカチコチになっている時にマッサージをされると「あぁ~、、ごくらくぅ~ーー」と感じる方も多いはず。逆に、もみ返しになる方も一定数いますが。。
マッサージの効果は硬くなって、コリにコッた筋肉をほぐして血流を良くする、、といったイメージが多いかと思います。ですが、それだけにとどまらず、凄い効果を発揮してくれるのです。
マッサージの効果
背中上部をほどよい刺激で15分マッサージすると、
- 「安らぎと結びつき」ホルモンで知られている「オキシトシン」が増加
- 「ストレス」ホルモンで知られている「副腎皮質刺激ホルモン」が減少する
といった報告もあります。(Morhenn V,Beavin LE,Zak PJ ,2012)
信頼や愛情、親しみある行動といった「絆」を深めるのに関わっているホルモン。同時に、「ストレス反応を緩和したり、不安の軽減、痛みの緩和」などの効果がある。
ケガをしたときに「手当て」という言葉を使いますが、痛みがあるところに手を当てると痛みが軽くなった、という経験をしたことはありませんか?
個人的にはこれも、「手を当ててみてもらっている」という刺激で「オキシトシン」が働いて、安心感で得られて痛みが和らぐのかな~と思っています。ちなみに、私はリハビリの臨床でもこれをやってます。そして、なかなかの効果あます。
「いぬ」と「ひと」の研究
飼い主様から愛犬ちゃんへ「こえかけや接触を伴った交流」の後に「オキシトシン」が増加するといった報告もあります(いぬ&ひと両者ともに)。
愛犬ちゃんにも飼い主様にも効果があるなんてやらない手はないですね。
マッサージのポイント
- 体調が悪そうなとき、傷や炎症があるとき、いつもと様子が違うとき、嫌がるときは無理してやらない
- 強くやらない(ヒトでは強い刺激を好むこともありますが犬は別)
- 最初は「なでる程度」の刺激量で
- 飼い主様がリラックスしたやさしい気持ちで触れると効果up
- やさしく声かけしながら、アイコンタクトしながらやると効果up
ポイントはゆっくり、やさしくです。
食事
ストレスによって食欲不振になったり、過食になったりと、「ストレスが原因で食欲に影響を与える」といった一方通行ではないといったお話になります。
いぬの食事内容と攻撃行動の研究
食事のタンパク質量の高さが攻撃性に関与するのではないか?といった研究があるのでご紹介いたします。
研究内容①:Domanらの研究 1996年
優位性攻撃行動(自分の思い通りにならないことで飼い主に威嚇や攻撃をする行動)、なわばりに過剰に反応するなわばり性の攻撃行動(訪問者に吠えるなどの行動)の傾向を持ついぬに、
- タンパク質が 低い群(17%)
- タンパク質が中等度群(25%)
- タンパク質が 高い群(32%) に分けて2週間食事をとった。
結果:タンパク質が低い群・中等度群ではなわばり性の激しい攻撃行動が減少した。
研究内容②:DeNapoliらの研究 2000年
優位性攻撃行動、なわばり性の攻撃行動のあるいぬに、
- 高タンパク食+トリプトファン添加群
- 高タンパク食群
- 低タンパク食+トリプトファン添加群
- 低タンパク食群
の4つに分類
*高タンパク食(30%)、低タンパク食(18%)
*トリプトファンとは、タンパク質を構成するアミノ酸の一種
結果:
- 優位性攻撃行動のある「いぬ」では、「高タンパク食群」は「高タンパク食+トリプトファン添加群」よりも攻撃性がより高くなった。
- なわばり性の攻撃行動がある「いぬ」では、「低タンパク食群+トリプトファン添加群」の攻撃性が有意に少なくなった。
- 恐怖性攻撃行動、過活動、興奮性のあるいぬに対してはタンパク質量やトリプトファン添加では影響がなかった。
セロトニン(精神バランスを整える神経伝達物質)の前駆物質。
セロトニンが低下すると攻撃性が高まる傾向にあることが知られています。
トリプトファンは鶏、リスなどのげっ歯類、霊長類において攻撃性を低下させることが確かめられいます。
- タンパク質の量が攻撃性に関与する場合がある。
- 高タンパク食は攻撃性を高める可能性もある。
- トリプトファンを添加すると優位攻撃行動が落ち着く。
- なわばり性攻撃行動は低タンパク食に加えてトリプトファンを添加すると攻撃性が少なくなる。
- キーワード:タンパク質 トリプトファン
ですが、、、アミノ酸の不均等は食欲不振の恐れもあります。参考程度にしておいてください。もし、気になる方は獣医さんに必ずご相談を。
まとめ
結論をいうと、「よく動き、スキンシップをし、よい食事を」の3つ。
特に「運動」と「マッサージ(スキンシップ)」の2つは日頃から一緒にやることで、愛犬ちゃんにも飼い主様にも良い効果が出るのでぜひともやってほしいです!!
- 運動は息が軽くあがる程度の動きを取り入れよう!
→ β-エンドルフィン効果があるため
- 日頃のスキンシップにマッサージ、こえかけを取り入れよう
→ オキシトシン効果があるため
食事に関しては日頃の食事に落とし込むのがむずかしい話になりました。。
ですが、日頃の食事が情緒に関わってくるのは確か。ヒトでは暴飲暴食すれば、おなかをこわしてはイライラすることもあります。そして食事による肥満はストレスを引き起こしやすくします。
色々と研究の事について書かせていただきましたが、日頃のバランスのとれた食事が大事って話で落ち着きそうです。そして、飼い主様自身の食事にも目を向けてみて下さい。
さいごに
動物の身体は奥深いものです。そんな身体の「奥深さ」を理学療法士という視点、ペット栄養管理士、ファスティングマイスターという観点からわんちゃんとヒトを結びつけて、家族みんなが健康に!といったテーマでブログを書かせて頂こうと思います。
興味のある方は今後ともよろしくお願い致します。
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