食事・体重管理編

愛犬ちゃんの「関節を守る」ためにやっておきたいこと、知っておきたいこと【運動とサプリについて】

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関節に負担をかけてしまう要因は色々とあります。例えば「太ってしまった」や「運動のやりすぎ」、「加齢」、「感染症によって関節に炎症を引き起こしてしまった」、自己免疫疾患・・などなど。

関節を傷めてしまうと愛犬ちゃんの楽しみなお散歩が減ってしまいます。

愛犬ちゃんの関節を守ってあげるのも飼い主さんの役目。関節に対する正しい知識を身につけておきたいところですね。

例えば、運動のやりすぎが関節に負担をけけるということは想像つきますが、運動のやらなすぎも関節を弱めてしまう要因にもなってしまうのです。

この記事では、①関節の構造〜関節の代表的な疾患である「骨関節炎」とは?について、②わんちゃんの「運動と関節」についての論文をたくさん集めたデータから、さらに「運動と関節」についてまとめた論文(とにかく信頼性のある論文)の紹介。この文献でどの程度の運動量が関節に良いのか?や、「運動のやらなすぎ」も関節に良くないというデータと理屈が記載されています③最後に関節を守る補助としてサプリメントのご紹介となります。

愛犬ちゃんの健康を守るためにも骨の知識はつけていきましょう♪

関節と体重も、ものすごく関係しています。体重管理について知りたい!という方はこちらをご覧ください。

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Profile
現役の理学療法士(17年のキャリア)

日本ペット栄養学会ーペット栄養管理士

分子整合医学美容食育協会ーファスティングマイスター

関節の構造〜「骨関節炎」とは?について

関節の構造

構成成分

約70%は水分

コラーゲン、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸など

役割

衝撃吸収作用

関節同士の動きをなめらかにする

骨と骨をつないで力を伝達する

骨関節炎(変形性関節症)とは

まず知っておきたいことは、関節炎には色々なタイプに分類されているということ。大きく2つにタイプ分けすると、関節の炎症を伴う炎症性関節疾患、炎症を伴わない非炎症性関節疾患に分けられます。

炎症性関節疾患には感染症や関節リウマチなど、

非炎症性関節疾患には骨関節炎(変形性関節症)や腫瘍が挙げられます。

今回は骨関節炎に着目して解説してまいります。

骨関節炎は関節内の変性を伴います。関節の中でも関節軟骨衝撃を吸収してくれる大事な役割があります。

関節は毎日繰り返し負担がかかるので、年齢とともに軟骨が傷ついたり変性してしまいます。

その過程で炎症が起こったり、腫れたり、熱を持ったりと炎症を起こします。炎症が慢性化すると関節同士を包んでいる関節包骨膜が硬くなり、関節の曲げ伸ばしがしにくくなります。

骨棘について

また修復の過程で骨が変形していき、骨に棘(トゲ)ができたような変形を起こしていきます。

これを骨棘といいます。骨棘は関節面が広がるため、支える面積が増えます。そのため、関節の安定化に働くメリットもあります

ただし、安定化するがゆえに「動かしづらく」なったり、動かした時に痛みを伴うこともあります。

「これ以上関節が壊れないようにしよう」という身体の適応ともいえます。

骨関節炎は成犬の20%以上が罹患しているといわれ、成猫ではなんと60%以上が罹患しているといわれています。

気にかけてあげよう!こんな症状ありますか?

〜骨関節炎で起こりやすい兆候〜
  • 活動性の低下 
  • 運動嫌がる
  • すぐ疲れる
  • 跛行(すぐに座ってしまう)
  • 寝てる時間が長くなってくる など

関節は一度変性すると元には戻りません。なので、関節を守るための予防が必要です!

次は関節を守るために運動が大事だよ!という文献があるので紹介いたします。

運動×関節 ほどよい運動が関節を守る

運動の研究

研究内容:

29件の研究データから日々の運動量が膝軟骨のアグリカン、コラーゲン、厚みに与える影響について調べる。

研究結果:*盛りだくさんの内容のため一部抜粋

1日あたり30分以上2時間以下の運動量(中等量の運動)の運動群は、アグリカン、コラーゲン、軟骨の厚みに対する影響はなし、または増加したと報告。

アグリカンとは

ヒアルロン酸やコラーゲンなど一緒に軟骨組織を形成し、組織の保水性や弾力性を維持している。プロテオグリカンの一種。

運動量の違いでアグリカン、コラーゲン、軟骨の厚みに影響を及ぼし、

低用量の運動では減少か影響なし(25文献のうち21件)

高用度の運動では減少する(27文献のうち19件)

Impact of a daily exercise dose on knee joint cartilage – a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials in healthy animals

正常な軟骨は、関節に圧が加わると硬くなる「自己硬化」特性があります。これにより、日常の活動に耐えることができます。ですが、ジャンプや、急な動き・ターンなどの活動では、衝撃と過負荷がかかります。毎日激しい運動をしていると関節に負荷がかかることで、軟骨の損失を引き起こし、変形性関節症(OA)のリスクを高める可能性があります。また、低い運動量軟骨に影響を与えないか、または損失を引き起こすことが示されています。

ポイントは運動の「やらな過ぎ」も「やり過ぎ」も良くないってことですね。

お散歩で適度な運動をしていると、愛犬ちゃんも嬉しいし、関節を守ってくれる働きをするし、飼い主さんも一緒に健康でいられる♪ということでまさにウィンウィン。

サプリ×関節

関節は一度変形してしまうと元の形には戻りません。なので、日頃から変形を予防していくことが大切になります。

ここでは、サプリに関しての効果や研究、商品の紹介をします。

サプリに関しては、研究によりばらつきがあったり、長期の投与が必要であったり、副作用がないわけではない、、などなど完璧なものではありません。症状に対して「過度な期待はいけない」を念頭においておきましょう。

コンドロイチン硫酸

効果

  • 抗炎症作用
  • 細胞膜損傷の減少
  • 生後3ヶ月のイヌでは成長板軟骨への取り込みがみられた

デメリット

  • コンドロイチン硫酸単独ではイヌの骨関節炎に対する治療を推進する報告はない。
  • 経口投与では関節軟骨には到達しない可能性がある。

サプリ

アボカドと大豆からの抽出物

効果

  • コラーゲンとアグリカン合成を促して軟骨修復を促進する。
  • イヌの研究にて炎症を抑える作用があるTGF−β1とTGF−β2が増加した。
  • 関節を守り炎症を抑えることで痛みの軽減と関節の動きをスムーズに。

デメリット

  • ヒトの研究は多いが、イヌの研究は少ない。
  • 長い目で見る必要があり、研究では3ヶ月の期間を要していた。

サプリ

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nー3脂肪酸

効果

  • 炎症性サイトカインの発現が低下。
  • イヌの研究にて変形性関節症の機能改善あり。

デメリット

  • 機能改善まで時間がかかり、立ち上がり機能向上まで6週、歩行機能向上まで12〜24週かかっていた。
  • オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の割合が大事。

文献

サプリ

非変性Ⅱ型コラーゲン

効果

  • イヌの研究にて変形性関節症による痛みの改善。
  • 炎症を抑える働きがある。

デメリット

  • 投与期間が長い。30日で機能改善したという研究もあれば、150日間の研究もある。

サプリ

まとめ

  • 関節は衝撃吸収作用、関節同士の動きをなめらかにする、骨と骨をつないで力を伝達する役割がある。
  • 骨関節炎は年齢とともに軟骨が傷ついたり、骨に棘ができたり、関節の構造が変性していく。
  • 骨関節炎は成犬の20%以上が罹患しているといわれている。
  • 活動性が低下したり、歩ける距離が少なくなってきたら気にかけてあげましょう。気づけるのは飼い主さん
  • 適度な運動は軟骨の厚みを増やす作用があり、関節を守ってくれる運動の「やらな過ぎ」や「やり過ぎ」も良くない
  • サプリも関節を守る作用があるが、過信しないこと。
  • サプリは長い目で根気強く続けていくことを肝に銘じておく。
  • コンドロイチン硫酸、アボカドと大豆からの抽出物、nー3脂肪酸、非変性Ⅱ型コラーゲンなどが関節のサプリとして挙げられる。

さいごに

動物の身体は奥深いものです。そんな身体の「奥深さ」を理学療法士という視点、ペット栄養管理士、ファスティングマイスターという観点からわんちゃんとヒトを結びつけて、家族みんなが健康に!といったテーマでブログを書かせて頂こうと思います。

興味のある方は今後ともよろしくお願い致します。

ご質問やご意見ある方は以下からお問い合わせください。最後までお付き合いしていただきありがとうございました。

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