犬の健康をサポート!【背部と胸部の筋肉の役割と効果的なマッサージ方法】
イヌの身体は、さまざまな筋肉によって支えられています。筋肉は、骨格を動かしたり、姿勢を保ったり、内臓を守ったりするために必要です。特に、背部と胸部の筋肉は、イヌの運動能力や健康に大きな影響を与えます。
この記事では、犬の背部と胸部の筋肉の主な役割と、その重要性について解説し、ケア方法をご紹介します。
この記事を書いたひと
犬の整体師
日本ペットアロマホームケア協会認定アドバイザー
日本ペット栄養学会ーペット栄養管理士
分子整合医学美容食育協会ーファスティングマイスター
背部と胸部の筋肉が犬の健康に与える影響
姿勢と運動に及ぼす影響
背部と胸部の筋肉は、イヌの骨格を支える重要な役割があります。背部の筋肉は立位姿勢をまっすぐ保つために常に働いています。胸部の筋肉は胴体を支え、立位姿勢を保つ働きをしています。ヒトの腕立てふせの状態をキープしているとイメージしやすいかと思います。
背部と胸部の筋肉の役割
背中の筋肉は、イヌが走ったり跳んだりするときにも重要な働きをします。走るときには、背中の筋肉が脊柱を伸ばして後ろ足から前足へと力を伝達します。跳ぶときには、背中や脚を曲げて力をため込み、後脚からの強い推進力を胴体に伝えています。
背部と胸部の筋肉が弱くなると、胴体をまっすぐに伸ばせなくなります。その結果、イヌは姿勢が悪くなり、ヒトと同様に身体が丸くなります。身体が丸くなると顔も持ち上がりにくくなり、うつむいた姿勢となり、首に負担がかかります。また、運動能力も低下し、歩行や走行に困難が生じます。
体を丸めることで立位姿勢をなんとか保つことができる。
体が丸くなるので前脚、後脚の動きが悪くなる。
この姿勢が続くと筋肉も硬くなり、歩きにくくなる。
そうならない為にもケアが必要!!
呼吸に及ぼす影響
呼吸に関係する筋肉は、横隔膜や肋間筋などがあります。これらの筋肉は、収縮したり弛緩したりすることで、胸腔の容積を変化させます。胸腔の容積が増えると、肺に空気が吸い込まれ、胸腔の容積が減ると、肺から空気が吐き出されます。このようにして呼吸をしています。
背部と胸部の筋肉が衰えると、姿勢が崩れて身体が丸くなっていきます。身体が丸くなると息を吸う筋肉が硬くなりやすくなります。息を吸う筋肉が硬くなると息を吐きにくくなる。すると深い呼吸ができなくなる→すぐに息が切れる→歩ける距離がみじかくなる…という負のサイクルが働きます。
①息を吸う筋肉が縮む
②肋骨が開く
肋骨が閉じにくくなる
息が吐きにくくなる
③速く浅い呼吸になる
- 疲れやすくなる
- 動きたくなくなる
- リラックスできない
筋肉の健康維持と予防対策の重要性
体幹の筋肉を強化するには、愛犬ちゃんに適度な運動をさせることが大切。特に、脊柱を曲げ伸ばしするような運動が効果的。例えば、ボールやフリスビーを投げて取ってこさせる遊びや、坂道を上り下りさせる運動などがおすすめです。ただし、過度な運動は逆効果になることもあるので、犬の年齢や体調に合わせて調整する必要があります。
硬くなりやすい筋肉をマッサージしてあげることも健康の維持には大事。やみくもにマッサージするよりも筋肉の知識をつけるとより効果的です。次に代表的な筋肉を載せるのでみてみましょう。
背部と胸部の筋肉を知ろう
広背筋 胸腹鋸筋
広背筋
前脚を後方に引く作用がある。歩くときや走るときに、前脚を前から後ろへ蹴りだしたて推進力をうみだす。馬では著しく強力な筋肉。
胸腹鋸筋
立位姿勢で体幹を支える筋肉。肩甲骨を後方へ引く作用がある。息を吸うときに働く作用もある。
胸・腰最長筋 頚・胸棘筋
胸・腰最長筋
脊椎(腰~胸まで)の固定として働く。背骨を側方に曲げる、伸ばす作用もある。
頚・胸棘筋
胸・腰最長筋と同様に脊椎(腰~頸部)の固定として働き、背骨を側方に曲げる、伸ばす作用もある。
多裂筋 外肋間筋
多裂筋
背筋のうち最深層に存在する。よく耳にする「インナーマッスル」として働き、身体を安定させる大事な筋肉。加齢とともに萎縮していく傾向にある。
外肋間筋
息を吸うときに働く筋肉。肋骨を縮めて胸腔を広げる。
浅胸筋 深胸筋
浅胸筋
立位姿勢や歩く、走るときに身体を支える。前脚が外に開きすぎないように制御する。ヒトでいう大胸筋的な筋肉で、馬ではムキムキに盛り上がっている。
深胸筋
実は止まっているときはさほど働いていない筋肉。歩くときや走るときに前脚のブレーキ作用をする。
イヌが走っているときの筋活動(主に呼吸筋)を調べた研究
背部と胸部の筋肉を効果的にマッサージする方法
愛犬ちゃんの健康を保つために、定期的なマッサージはおすすめ。マッサージは血行を良くしたり、痛みの緩和、ストレスの解消、信頼関係を深める、、といった効果があります。
特に背部と胸部の筋肉は姿勢や運動能力に大きく影響するため、マッサージは念入りにしてあげたいですね。今回は、イヌの背部と胸部の筋肉を効果的にマッサージする方法についてご紹介します。
マッサージの基本的な手法と準備
- リラックスできる場所と時間を選ぶ
- 愛犬ちゃんの様子や反応をよく観察する
- 無理やりマッサージをしない
- 優しくて丁寧なタッチで行う
- 爪や指輪などで犬の皮膚を傷つけないようにする
- 苦しそうにしたり、嫌がったりしたらすぐにやめる
背部の筋肉をほぐすマッサージ方法
イヌの背部は長い筋肉が走っており、姿勢や歩行に関わっています。背部の筋肉が硬くなると、イヌは不快感や痛みを感じることがあります。背部の筋肉をほぐすマッサージ方法は以下の通りです。
- イヌが「ふせ」か、「横向き」になるように誘導します。
- 首から尾まで手のひらでさすります。これはウォーミングアップとして行います。
- 首から尾まで手のひらでヒフをスライドさせるように動かしていく。十分に柔らくなっていたらヒフをつまんで持ち上げたり、左右に動かしたりします。
- マッサージしている部分が温まってきたら、指や手のひらで軽く圧をかけながらもみほぐします。筋肉の流れに沿って行い、硬い部分やコリがある部分はやさしく丁寧にもみます。
- 首から尾まで手のひらや指で軽めにタッピングします。手首を柔らかく、指先の力は抜いて行いましょう。同じ場所ではなく、流れるように行うのがポイント。
- しあげとして首から尾まで手のひらでさすっておわり。
- 「ふせ」でも「横向き」でもOK
- まず最初に首から尾まで軽くさする
- 背部の筋肉の走行に沿って縦方向にさする。
- 次に筋肉の走行に対して横断するように、横方向にマッサージする。
- 一か所だけに時間をかけず、全体的におこなう。
- 一通りマッサージしたら、タッピングしてみる。
- 強さに注意。手の力は抜いてポフポフする感じ…
- 最後に背部を首から尾までさすっておしまい。
胸部の筋肉をほぐすマッサージ方法
イヌの胸部は大きな筋肉が集まっており、呼吸や運動に関わっています。胸部の筋肉が硬くなると、呼吸しにくくなったり運動不足になる可能性があります。胸部の筋肉をほぐすマッサージ方法は以下の通りです。
- 姿勢は胸部をマッサージできればどの姿勢でもOK。
- 胸部のマッサージは「もむ」というより「さする」。
- 胸骨からわき腹まで手のひらでさすります。これはウォーミングアップとして行います。
- 前胸部は浅胸筋、深胸筋の走行に合わせてさすっていく。前胸部からわきの下にさすることでリンパ液の流れも良くなります。
- 広背筋は硬くなりやすい筋肉の一つ。広背筋の走行をイメージしながらやさしくさする。
- 肋間筋に対しては、肋骨の間に指をそわせて、背部から前胸部に向かって指を滑らせていく。
- さいごに胸骨から脇腹まで手のひらでさすっておわり。
- わきの下にリンパ節が存在する。
- 矢印の方向にさすってリンパ液を流す。
- 年とともに硬くなりやすい筋肉で、ヒトも硬くなりやすい。
- 硬いところをみつけてもゴリゴリと強くやらない。
- 肩甲骨を前後に動かしてあげるのも良い。
- 外肋間筋も硬くなりやすい。
- 肋骨の間に指をそわせて矢印方向に軽くさする。痛みを伴いやすいのでやさしくお願いします。
- ほぐれると呼吸がしやすくなる。(広背筋とセットにやると効果的)
まとめ
- 背部と胸部の筋肉は姿勢や運動、呼吸に影響を及ぼす。
- 硬くなると身体が丸くなり、呼吸もしにくくなる。
- なので日頃からケアしてあげることが大事。
- マッサージは硬くなりやすい筋肉をほぐしてあげると効果的。
- 特に、背部の筋肉や広背筋は硬くなりやすい。
- マッサージはやさしくさすることが基本。
イヌの背部と胸部の筋肉の特徴と効果的にマッサージする方法についてご紹介しました。マッサージは愛犬ちゃんと飼い主様との絆を深める素晴らしい方法です。是非、マッサージをしてあげてください。
では、よき愛犬ちゃんライフを。
さいごに
動物の身体は奥深いものです。そんな身体の「奥深さ」を理学療法士という視点、ペット栄養管理士、ファスティングマイスターという観点からわんちゃんとヒトを結びつけて、家族みんなが健康に!といったテーマでブログを書かせて頂こうと思います。
興味のある方は今後ともよろしくお願い致します。
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