愛犬ちゃんが太る前に【知っておきたい事と予防策】
どれくらいの犬が肥満しているかご存知でしょうか?
都市部で飼われている犬の内、大体30%くらいが肥満と言われています。国によって異なりますが、先進国や都市部では肥満が多く、逆に感染症は途上国や田舎が多いと言われております。ちなみに、イギリスではなんと50%の犬が肥満というデータも。。
脂肪は動物にとってなくてはならない大事なものですが、、
脂肪には体に悪い物質が溶け込みやすい性質を持っていたり、脂肪細胞自体から体に悪影響を及ぼすホルモンを分泌したり(血圧上昇や炎症など)と、集まりすぎると暴走してしまう、非常ににタチの悪いものに変身してしまいます。
だからこそ、、肥満させないことが病気にさせない事への第一歩。とってもかわいい家族を守るためにも肥満に対する知識をしっかりつけていきましょう。
この記事を書いた人
犬の整体師
日本ペットアロマホームケア協会認定アドバイザー
日本ペット栄養学会ーペット栄養管理士
分子整合医学美容食育協会ーファスティングマイスター
体脂肪はどれくらいが標準なのか?
犬の体脂肪が15〜24%が適正、25〜34%が過体重、35%以上が肥満となります。
ちなみにヒトでは、
男性で15〜24%が適正、25〜29%が軽度肥満、30%以上は肥満。ほぼ犬と一緒w
女性で25〜34%が適正、35〜40%が軽度肥満、41%以上が肥満。厚労省では30%以上で体脂肪増加といわれています。*18歳以上が対象。
数字だけ見ても分かりずらいので、見た目で評価する方法を以下に記載します。
体脂肪を見た目で判断する方法(ボディー・バランス・スケール BCS)
- ウエストにくびれがあるか
- 肋骨(あばらぼね)は触れるか
- 体のラインがあるか
ボディー・バランス・スケール (BCS)
正式な体脂肪の計測は特別な機械でないと計測困難なので、日頃からのスキンシップで早めに気づいてあげたいですね。
なぜ肥満になるのか
①過食
「今日も可愛いパートナーにご飯を食べてもらおうかな」と、
しっぽふりふりして、待ちわびたご飯を美味しそうにガツガツ食べる姿は気持ち良さすら感じます。で、おねだりに負けておやつを一つ、また一つ、、最後の一つ、、、が最後じゃなくもう一つ。。なんて事もありませんか?自分はあります。。
ですが、その行為は過食の第一歩。
わんちゃん・猫ちゃんは与えられたものしか食べることができないので、過食はほぼ飼い主様の責任です。
もし、与えすぎた原因で太り気味なのであれば、おやつを制限するか、おやつをあげるならご飯の量を調節してあげてくださいね。
②ストレス
ヒトではストレスでやけ食いなんて事もありますが、ストレスが続くと食欲が爆上がりするという、厄介なメカニズムがあります。もちろん、わんちゃんでも同じメカニズムが働きます。ご飯を過剰に欲しがることは、もしかしたらストレスのサインかも。
また、飼い主様のストレスもわんちゃんは感じとっているといわれています。ご自身のストレスケアも大事です。
③性差と避妊/去勢
わんちゃんの体脂肪率はメスの方が高いと言われております。これはヒト同様ホルモンの関係が強く関わっています。
また、除脂肪組織(筋肉量)はオスの方がメスより多いです。筋肉量が多いと代謝が上がって脂肪を燃やしやすくなりますが、少ないと脂肪を燃やせず蓄積されて太りやすくなります。
避妊/去勢では、動いていない時の代謝量が20〜25%少ないという報告(猫に関して)があったり、運動量自体が減ってしまったり、メスではエストロゲン(女性ホルモン)による食欲抑制効果の減少が起こったりと肥満になりやすい状況下にあります。
実際に手術された飼い主様は動物病院の先生から説明があったかと思いますが、必要なエネルギー量は避妊/去勢前の3/4程度低下しているので、ご飯の調整が必要です。避妊/去勢後のご飯も市販されているので検討してみて下さい。
④肥満になりやすい犬種
海外のデータと日本のデータが微妙に違うのですが、参考までに
ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、ケアン・テリア、パグ、ダックスフンド、ビーグル、コッカー・スパニエル、バセット・ハウンド、キャバリア、ダルメシアン…など
ちなみに猫ちゃんは雑種の方が肥満が多い傾向にあります。正式なデータは今のことろはありません。
⑤年齢
ヒトと同じで、年とともに「あぁ、、疲れた。。動きたくないなぁ〜。。」なんて具合に活動量が落ちてきます。活動量が落ちると筋肉も使わなくなるので、筋肉量も落ちてきます。
この“筋肉量”がすごく大事。。
筋肉は代謝に大きく影響を与えていて、筋肉量が多いと脂肪を多く燃やしてくれます。逆に筋肉量が少ないと脂肪は少ししか燃やせないため、脂肪はどんどん溜め込まれてしまいます。そのため、筋肉量が減っているコに今までと同じ量を与えてしまうと肥満まっしぐらとなってしまうのです。
わんちゃんの肥満発症の増加割合は6〜8歳が最も多いといわれております。2歳以下までの年齢と比較して7歳のわんちゃんでは、1日に必要なエネルギー量は20%ほど少なくなるとが報告されています。
5歳を過ぎてきたら定期的にボディーチェック&年齢と共にご飯の量を調節してあげないとですね。活動量や筋肉量によるため、よく動き筋骨隆々なコに対しては無理に食事量は落とさなくて大丈夫。そのコに見合った分量を決めていきましょう!
*BCSを参考にしてみましょう。
⑥運動不足
運動量と筋肉以外にもう一つ大事なことがあります。
それは、、「自律神経」
自律神経ってなんだっけ?という方にざっくりとご説明すると、
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」のことを言います。よく身体を動かした時に働くのが「交感神経」、逆にリラックスした時やご飯を食べた後の腸の運動に働くのが「副交感神経」。
長年にわたって運動不足の状態が続くと、交感神経の働きが鈍くなって副交感神経が働く→腸の活動が活発に→動いてないのに腹は減る→食事摂取量が増える→ぶくぶく太る。。「動いてないのに腹は減るのよね〜」ていうのはこの原理。心当たりがあるヒトはわんちゃんとお散歩して交感神経のスイッチを入れましょう!
なぜ肥満はいけないのか
答えは「病気にかかりやすくなる」です。
かかりやすい病気を挙げると、
- 糖尿病
- 膵炎
- 腫瘍
- 脂肪肝(肝リピドーシス)
- 呼吸器への負担
- 運動器疾患の影響
- 寿命に影響 など…
これはヒトと似ていますね。
糖尿病に関しては、進行するとかなり厄介。目を傷つける網膜剥離や傷が治りにくくなり脚が壊死してしまったり、慢性腎臓病、その他もろもろの病気にかかりやすくなります。
ヒトが慢性腎臓病になれば人工透析もできますが、わんちゃん・猫ちゃんは限られた病院でしかできませんし、もしできたとしても急性の腎不全の場合のみ。。しかも費用は病院によって異なるようですが超高額。
そうならない様に日頃からご飯の管理は大切です。
ちなみに膵炎は3割増でかかるというデータも。。
寿命に関しては2002年のラブラドールレトリバーの研究があります。内容としては、
48頭を2つに分け、一つは自由に食べさせる群、もう一つはエネルギー制限する群(摂取エネルギー量25%減)として、
10年かけて飼育すると、自由に食べていた方は肥満が多く、寿命は平均で11、2歳
エネルギー制限した方は標準体重〜やや痩せ、寿命は平均で13、0歳 という結果に。
約2歳くらいの差ですが、わんちゃんにとっては大きい差ですよね。健康的な人生ならぬ犬生を送ってもらうためにも体重には気をつけていきたいものです。
肥満の予防、日頃からできる対処方法
何はともあれ、「地道にコツコツ」が大切です。
①ドックフードは測りを使うべし
かくいう筆者は、カップに引いた線までドックフードを入れ、「これくらいかな。。」と目分量で与えていた時期がありました。明らかにポニョポニョして「ここ最近少し太ったかな〜首周りのお肉が気になるな〜」と思い、ご飯を調整しはじめたりと体重に関しては不安定な日々を過ごしていました。
我が家で愛用しているドッグフードは100グラム、320キロカロリーでした。*ドッグフードによりグラムあたりのエネルギー量が異なるので確認してみてください。
一回の食事で5グラム違うと16キロカロリーの誤差が出ます。
参考までに我が家のドッグフードですが、左が3グラム、右が5グラムの写真です。
目分量だとこのくらいの量は増減しそうですよね。。
ちなみに一粒の大きさが、
仮に、1回の食事で毎回5グラムの誤差があると、、
- 1回の食事で16キロカロリー
- 1日、2回の食事で、16×2=32キロカロリー
- 1ヶ月で、32キロカロリー×30日≒960キロカロリー
- 1年で、32キロカロリー×365日=11,680キロカロリー・・・
犬の必要摂取カロリーは、体重や年齢、活動量、避妊/去勢、気候などによって異なりますが、大型犬でない限り、人よりも少ないのはご想像の通り。小型犬なら尚のこと。。目分量で与えてしまうと体重が安定しないので要注意。。
我が家の愛犬ちゃんは測りを購入してからはジャストでベストなボディーでいてくれてます。
ちなみに測りは100均で1、000円で買いました。。
最初は手間がかかりましが、一回一回愛情込めて計測し「いつまでも元気でいようね」とあげてます。
②ダイエットの目安
どれだけの速さで体重を減らせばいいのか?に対しては、
- 1週間で体重の0、5%〜2%減を目安に
- 体重減少率を一定にすること
1週間で体重0、5%〜2%というと、体重10キロのわんちゃんだと50グラム〜200グラムとなります。
これ以上減らすと筋肉量が減ってしまい→代謝が落ちてしまう→結果、脂肪が燃えず、、となってしまします。
また、ご飯が急激に減ると活動量も落ちてしまうため、焦らずゆっくり数ヶ月〜年ペースでゆっくり落としていくことが肝心です。
*すでに肥満になっている、もしくは病気になっているというわんちゃん・猫ちゃんは動物病院でご相談を!
③運動をするべし
食事ほど効果は期待できませんが、運動の習慣は大事。というのも脂肪を燃焼させるのは筋肉。一緒に運動すれば飼い主様の健康にもつながるのでウィンウィンですね。
15〜30分のお散歩を週5〜7回を推進。5km/日のお散歩で代謝量が7〜15%UPといったデータも。
「肥満の予防と対応って結局、食事と運動かーい!」と言われそうですが、私自身も思いました。。ですが、ヒトのリハビリの仕事を18年していて痛感することは、やっぱり「健康はよく動き・正しく食べる!」だな。と思う次第であります。
一日一日をわんちゃんと大切に過ごしていきましょうね♪
まとめ
今回は肥満に対してのテーマでした。「肥満っていけないよね〜」と、ふんわり知っていたことを深掘りしてみました。
動物の身体ってとっても複雑に絡み合っていて、肥満とストレスに関係があったり、肥満から糖尿病や内臓への影響があります。
一つのことから関係なさそうな別のところにまで影響しているので、動物の身体は奥深いものです。そんな身体のつながりを理学療法士という視点、ペット栄養管理士、ファスティングマイスターという観点からわんちゃんとヒトを結びつけて、家族みんなが健康に!といったテーマでブログを書かせて頂こうと思います。
興味のある方は今後ともよろしくお願い致します。
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