愛犬ちゃんに与えてはいけない【成分と食材】
イヌが食べてはいけないものは身近に潜んでいて、有名なものでいうと、チョコレートや玉ねぎなどが挙げられます。
この記事では、なぜ与えてはいけないか?を深堀するべく、与えてはいけない食べ物の「成分」について解説してまいります。
食べてしまうと身体の中でどう働いてしまうのかを知ることで、危険への認識を高めていきましょう。
この記事を書いたひと
犬の整体師
日本ペットアロマホームケア協会認定アドバイザー
日本ペット栄養学会ーペット栄養管理士
分子整合医学美容食育協会ーファスティングマイスター
与えてはいけない成分
有機チオ硫酸化合物
ネギ類に良く含まれている。
玉ねぎ ネギ ニンニク ニラ わけぎ らっきょう など
イヌの体内に入るとどうなるか?
「有機チオ硫酸化合物」は酸化作用をもっています。鉄がサビるのがイメージすると、トゲトゲになったりボロボロになるのが想像できるかと思います。血液に含まれる赤血球のヘモグロビンも鉄分を多く含んでいます。このヘモグロビンが酸化すると「ハインツ小体」という物質に変化します。赤血球がサビた状態といえます。
「ハインツ小体」を持つ赤血球は脾臓や肝臓、骨髄などの「細網内皮系」という組織で破壊されます。血液を多く含む脾臓や血液を作る骨髄で破壊が起こると、赤血球が急激に減少してしまい重度の「貧血」を起こすのです。
有機チオ硫酸化合物は熱を加えても性質は変わりません。そのため、みそ汁や鍋、ハンバーグ、すきやき、にくじゃが…などにしてもイヌに与えては絶対いけません。
ネコやウサギ、ハムスターも同様に与えてはいけないのでご注意ください。
貧血、粘膜蒼白(貧血になるから)、息切れ、血尿(褐色尿)、黄疸(ヒフが黄色になる)、食欲不振、下痢、嘔吐など
食べてしまったら症状が出る前に動物病院に相談!
カフェイン テオブロミン テオフィリン
カフェイン:コーヒー、緑茶、紅茶、ココア、コーラなど
テオブロミン:チョコレート(カカオ) チョコレートパウダー バター ココア コーラ お茶
テオフィリン:緑茶の苦み
イヌが食べてしまうと身体にどう影響する?
カフェインとテオブロミン、テオフィリンは似た成分で、心臓や脳、呼吸器などを興奮させる作用があります。
クマでも心不全を起こすくらい強烈な作用があるのには驚きです。食べてしまったら即病院。
下痢、嘔吐、興奮・神経過敏、呼吸が荒くなる、充血、発熱、運動失調、けいれん、発作、多尿、血尿、脱水、昏睡状態
キシリトール
ガム、キャンディー、ビタミン剤、栄養サプリメント、クッキーなどに天然甘味料として使用されていることがある。
イヌが食べてしまうと身体にどう影響する?
イヌが食べてしまうと、食べた量に応じてインスリン濃度が高まってしまいます。インスリンは糖質を筋肉や肝臓、脂肪細胞などに取り込む役割があります。インスリンの濃度が高まると血液の中の糖が急激に減ってしまい、低血糖を引き起こしてしまいます。エネルギーをつくる材料の「糖」が少なくなると、身体を動かす力がなくなるので、脱力感や疲労・思考力低下、ふるえなどが症状として現れます。
作用機序は完全には明らかにはなっていないのですが、肝障害を引き起こす危険性もあります。肝臓に障害があると血液凝固作用の低下や貧血、黄疸などが現れます。
イヌのキシリトール中毒は摂取後30分~1時間以内に症状が出ることが多く緊急性があります。愛犬ちゃんが食べてしまったらすぐ動物病院へ。
嘔吐、沈うつ、衰弱、歩かない、震え、昏睡
肝不全、凝固不全、貧血、黄疸
ツリピン ツリパリンA(アルカロイド)
チューリップ (球根、茎、花、、全部毒)
*植物の球根は毒がある可能性が高いので注意。
イヌの体内に入るとどうなるか?
ツリパリンAはアレルギーを引き起こす物質。ツリパリンAがヒフに付くと、かゆみやヒフ炎を引き起こす危険性があります。
心臓毒とも知られていて、食べてしまうと血圧低下や心臓麻痺、けいれん発作を引き起こすことも。
その他の症状として嘔吐、下痢、よだれ、胃腸炎、食欲不振などが挙げられます。
補足
ユリ科の植物であるアスパラガスは食べても大丈夫。
アスパラガスは「アルカロイド」という中毒成分を少量含んでいますが、一本食べたとしても中毒を起こす量は含まれていないのでご安心を。注意点として、生で食べさせないこと。加熱することが必須です。
チアミナーゼ
生の魚介類(イカ・貝など)
*魚の内臓に多く含まれる
貝類、二枚貝(シジミ、カキ、ハマグリなど)
ワラビ、ゼンマイ
犬が食べてしまうと身体にどう影響する?
チアミナーゼはビタミンB1を破壊する酵素。そのため、ビタミンB1欠乏症を引き起こしてしまいます。ビタミンB1には糖質代謝(糖からエネルギーを取り出す)の働きがあります。
糖エネルギーを必要とする臓器は「脳」。もし、脳に向かうエネルギーが少なかったら、脳の働きが低下してしまいます。そのため、神経にも影響し、神経症状を引き起こしてしまいます。
ネコ:食欲不振 多発性神経炎 運動機能障害
イヌ:心肥大 不全麻痺 四肢の失調症状(ふらふらしてしまい、歩くこと・立つことができなくなる)
*イヌよりネコで症状が出やすい。
朝日新聞にて「ネコにイカを食べさせちゃだめ?」をテーマにした記事があったので詳しく知りたい方は以下をご参照ください。
ビタミンB1について合わせて知っておきたいこと
~白米、砂糖について~
白米や砂糖の摂取は糖分の過剰摂取になりやすいです。糖分を過剰に摂取することで、糖を分解するビタミンB1が大量に消費されてしまいます。それによりビタミンB1欠乏症を引き起こしてしまう危険性もあるのです。
栄養はバランスが非常に大事ですので、糖分は与えすぎないこと。ヒトのお菓子などは与えないようにしましょう。
ペルジン
アボカド(果実以外に、葉、種子、樹皮にも含まれる)
イヌが食べてしまうと身体にどう影響する?
アボカドに含まれるペルジンには殺菌作用があります。この成分はヒトには無害ですがヒト以外の動物には毒性を示します。
嘔吐、下痢などの胃腸の炎症、食欲不振、呼吸困難など
*種にも注意。何でも丸のみしてしまうイヌにとっては食道やのどに詰まらせてしまう危険性も。
ラクトース(乳糖)
牛乳
イヌが飲むと身体にどう影響する?
牛乳を飲み過ぎておなかがゆるくなってしまうことはありませんか?イヌが牛乳を摂取すると下痢を引き起こしてしまうことがありあます。
イヌは牛乳に多く含まれるラクトース(乳糖)という成分を分解するのが苦手。そのため、ラクトースが腸内に残ってしまいます。ラクトースは水分を引き寄せる作用があるため、体内の水分が腸内に流れ込みます。これが下痢になる理由なのです。
また、体内からの水分を引き寄せるため、体内の水分量が減ってしまい「脱水症状」を引き起こす危険性もあります。
以下の図は牛乳と犬乳、猫乳の成分比較したものです。牛乳は犬乳や猫乳の約2倍となっております。
ちなみに人乳は乳糖約60%、タンパク質10%以下です。ヒトはエネルギーを欲しているのがよく分かります。
食塩・ナトリウム
食塩が多く含まれるヒトの食べ物は以下をご参照ください↓
イヌが食べてしまうと身体にどう影響する?
食塩の摂りすぎがいけないのはヒトと同じ。摂りすぎてしまうことで顔や手足がむくんだこともあるのではないでしょうか?
塩分の摂りすぎは血圧を高めやすくなります。高血圧になると心臓や脳にも負担がかかります。また塩分は水分を引きつけて体内の水分量を増やすので腎臓にも負担をかけます。
発熱、嘔吐、下痢、心機能障害、盲目、神経症状など
アビジン
生卵(卵白)
食べてしまうと身体にどう影響する?
アビジンは生卵の卵白に含まれる成分で、「ビオチン」というビタミンと仲良く結合してしまう働きがあります。そのため、摂取しすぎてしまうとビオチン欠乏症を招いてしまいます。
ビオチンは糖や脂肪酸、一部のアミノ酸を代謝するときに使う補助要員で、簡単にいうとエネルギーを作るサポート役です。
その他に、ヒフや粘膜の維持、爪や毛髪の健康に関わっていて、ヒフの炎症を抑えてくれる働きもあります。
ビオチンが欠乏してしまうと、ヒフの炎症、成長不良、食欲不振、脱毛、体毛の脱色などが症状として現れることがありあます。
生卵と納豆の食べ合わせがよくない、ということを聞いたことはありませんか?これは、生卵に含まれている「アビジン」と納豆や卵の黄身に含まれる「ビオチン」がくっついてしまい、せっかくのビオチンが吸収できない・・という仕組みがあるからなのです。個人的には生卵と納豆の組み合わせは好きなのでよく食べますが、栄養を気にする方は分けた方がよさそうです。
対策
アビジンは熱に弱く変性するため、加熱することが対応策です。
卵の栄養を最高の状態で愛犬ちゃんに与えるポイントは加熱しすぎないこと。卵黄のビタミンやタンパク質は加熱しすぎると変性してしまうので、「半熟卵」や「焼きすぎない目玉焼き」が栄養を吸収しやすい状態といえます。
まとめ
- 有機チオ硫酸化合物
- カフェイン テオブロミン テオフィリン
- キシリトール
- ツリピン ツリパリンA(アルカロイド)
- チアミナーゼ
- ペルジン
- ラクトース(乳糖)
- 食塩・ナトリウム
- アビジン など
玉ねぎ、ネギ、ニンニク、ニラ、わけぎ、らっきょう、コーヒー、緑茶、紅茶、ココア、コーラ、キシリトールの入ったもの、チューリップ、イカ・貝など生の魚介類、アボカド、牛乳、ヒトが食べる食塩が多いもの(パン、鮭、ハム、ベーコン、シラス干しなど)など
ヒトとイヌとで共通すして作用する成分、異なる成分があります。ヒトが食べても良いものだから安全という訳ではないので、食べ物を与えるときは毎回調べて、安全なのか確認してから与えてあげましょう。
もし、与えてはいけないものが愛犬ちゃんの口に入ってしまったら必ず動物病院に相談してください。
さいごに
動物の身体は奥深いものです。そんな身体の「奥深さ」を理学療法士という視点、ペット栄養管理士、ファスティングマイスターという観点からわんちゃんとヒトを結びつけて、家族みんなが健康に!といったテーマでブログを書かせて頂こうと思います。
興味のある方は今後ともよろしくお願い致します。
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